痛くないインフルエンザワクチン(フルミスト)について
今年度から認可されたインフルエンザに対する鼻スプレー型の生ワクチンです。
左右の鼻に0.1mlずつ噴射します。有効性はこれまでの注射の不活化ワクチンと同程度です。
基本的に1回接種で、効果は1年程度続きます。これは最近のインフルエンザの流行が注射のワクチンの接種開始前から始まっているため、それを防ぐ可能性があり、大きな期待がもてます。
従来の注射のインフルエンザワクチン米国では2003年から承認され、2023年時点で36の国で承認されています。
費用
1回 9000円
予約は予約ページのワクチン予約画面からお願いします。
接種対象者
2歳〜19歳未満の基礎疾患のない方。
※注射の生ワクチンとは4週間以上の間隔をあけてください(同時接種は可能です)。
※注射が可能な程度の鼻水等の症状のある方や、泣いてしまって鼻水でワクチンが流れ出てしまう可能性のあるお子様は接種できないことがあります。
フルミストを接種される方は予め予診票をご入力下さい。
接種できないまたは注意が必要な方は主に以下の通りです。
・妊娠中の方
・重度の免疫不全者のお世話をしている方、同居の方
→1~2週間接触を避けられる方は可能
・一定時間以内にインフルエンザの抗ウイルス剤を服用した方
→タミフルとリレンザは48時間、ラピアクタは5日、ゾフルーザは17日
・重症喘息の方
・授乳中の方
→接種後1〜2週間は乳児との接触を避けることが推奨されています
※卵アレルギーに関しては、不活化ワクチンと同等と考えられるため当院では通常通り接種可能とします。
メリット
・注射の痛みはない
・接種が1回で済む
・効果が1年程度続く(不活化ワクチンは4〜5ヶ月程度)
デメリット
・咳鼻症状の副反応が出やすい
鼻症状は約6割の人に出ますが、プラセボ(ただのお水)を点鼻した人も同じくらい出ているので、薬のせいというよりも点鼻をすること自体の影響と思われます。頻度は高いですが、軽い鼻水程度の方がほとんどです。
・副反応で熱が出た時にインフルエンザと見分けができない
発熱の頻度は6%ですが、生ワクチンのため抗原検査をすると陽性に出てしまいます。これに対して抗インフルエンザ薬を使用するとワクチンの効果が弱まってしまいます。
・喘息が不安定の方は喘鳴が出現する場合がある
喘鳴の頻度は0.2%と少なく、軽症~中等症で安定している方であれば不活化ワクチンと比べて発作の頻度に差がなかったというデータもあります。
喘息で当院に通院中の方は、ご不安があれば事前にご相談ください。
他院に通院中の方は必ずあらかじめ接種可能か相談してきてください。
・水平伝播した例がある
添付文書や小児科学会の推奨に記載はありませんが、同居人で1歳未満のお子さんがいる場合は避けることが望ましいと思います。ただ、感染しても重篤な症状は報告されていません。
最後に
昨年インフルエンザ流行期はコロナも同時流行しましたが、数もずっとインフルエンザの方が上回っており、多くの患者さんがインフルエンザの強い症状にしんどい想いを訴えられたことを外来でも強く実感しておりました。そのインフルエンザに新しいワクチンの選択肢が増えたことは頼もしいと思います。メリットやデメリットがありますので注射と比べてご検討いただければと思います。
渡部クリニック 平石 渡部